概要
結晶性高分子の結晶化度は、物性一般に深く関わる構造パラメータであり、結晶化度を評価することで剛性不足や割れ・白化等の原因を特定できることがある。
結晶化度の測定方法には、密度法・熱分析法・NMR法・IR法などがある。
ここでは、1mmφ程度の微小部を固体状態のまま測定可能なX線回折法による結晶化度測定について解説する。
広角X線回析法による測定例
X線回折法では試料にX線を照射し、得られる回折情報(広角X線回折図形または広角X線回折プロファイル)から、非晶に由来する散乱領域と結晶に由来する散乱領域とを分け、全散乱強度に対する結晶散乱強度の比として計算する。
通常、結晶部と非晶部の分離には多重ピーク分離プログラムを用いる。
なお、非晶部領域の設定は非晶モデルに依存する。
結晶化度の詳細な解析手法として、コンプトン散乱などの非干渉性散乱を除き、熱振動や結晶中の乱れを考慮したW.Rulandの文献※ に従う方法もあるが、一般に相対的な結晶化度の評価需要が多く、迅速に再現性よく計算できるために通常は上記簡便法による。
※ W.Ruland, Acta Cryst.,14, 1180 (1961)
広角X線回折法による測定例