パルスNMRによる分子運動性の評価
-材料の物性・構造を分子運動性の観点から解析する-

概要


材料の物性(硬さ・軟らかさ)と高次構造は「分子の動きやすさ」と関係がある。パルスNMR は分子運動性に関する情報を簡便に得られる手法であり、分子運動性の程度や異なる運動成分の割合を解析することで物性や高次構造を評価できる。



原理


パルスNMR は核磁気共鳴 (NMR) 法の一種で、時間領域NMR (TD-NMR) とも呼ばれる。静磁場中のサンプルにラジオ波パルスを照射し、磁気緩和挙動を測定する。緩和曲線を解析することで分子運動性の程度や高 / 低運動成分の割合などが判る。

磁化の緩和時間と分子運動性の関係
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特長


  • 分子運動を数値 (横緩和時間T2・存在比) で比較できる
  • サンプル形状、性状に制約が少ない
  • 測定核種 1H、19F
  • サンプル量 0.5 g ~ 1 g
  • 測定温度範囲 -100 ℃ ~ 200 ℃
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衝撃特性の異なるポリプロピレン (PP) の分子運動性解析例


低耐衝撃性PP (Izod 衝撃強度:21 J/m@23 ℃)
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高耐衝撃性PP (Izod 衝撃強度:90 J/m@23 ℃)
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高耐衝撃性PP には高運動性のSoft 成分がみとめられた。

➡軟らかいゴム成分の存在が示唆され、これが衝撃特性に寄与していると推測される。



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