概要
立体規則性はポリマーの分子間相互作用や結晶化の程度の支配因子の一つであり、ポリマーの融点、溶解性、弾性、透明性、耐久性などの物性や機能に密接に関係している。ポリマーの立体規則性やその分布の評価は、ポリマーの重合や改良、物性発現の理解に重要である。立体配置の違いにより CH3 領域のケミカルシフトが異なる NMR 法は、立体規則性の評価に有効である。
13C-NMRによる立体規則性評価
用語の定義
ポリマー主鎖に対して隣り合うモノマー単位の側鎖が同じ向きに並ぶものをメソ(m)、異なる向きに並ぶものをラセモ(r)と呼ぶ。3個以上のモノマー単位からなる連鎖の立体配置もmとrを用いて表示される。一般にPP ではプロピレンモノマーが3 つ連なった3連子(トライアッド)、5 つ連なった5連子(ペンタッド)の立体規則性を評価する。
PP の側鎖メチル基の立体配列様式(例:3 連子)
立体規則性の異なるポリプロピレンの比較例
各種ポリプロピレンの13C-NMR スペクトル
|
アイソタクティシティー |
|
トライアッド(mm%) |
ペンタッド(mmmm%) |
iPP |
94.4 |
91.9 |
sPP |
2.9 |
0.2 |
aPP |
48.5 |
33.2 |