概要
液晶ディスプレイの表示不良を起こす原因の一つに、パネル内のイオン伝導があります。このイオン伝導は、液晶材料・配向膜・シール剤などの材料や製造過程で混入するイオン(不純物)によって生じ、その種類や濃度に依存します。
伝導を引き起こすイオンには金属イオン・無機陰イオン・有機酸などがあります。一般的にこれらの分析には、イオン伝導度を測定して、その結果を特定のイオン濃度に換算するという方法が用いられていますが、キャピラリー電気泳動装置を用いれば、液晶中に含まれているイオンを分離し、定性・定量することができます。さらに、得られた結果を検討することによって、不純物の混入源の特定や影響イオン種の解明が可能になります。
ここでは、混入する陽イオン性物質を調べるため、液晶による抽出(モデル実験)を行った分析結果を紹介します。
測定例
標準試料溶液のエレクトロフェログラムを左図に示しました。
メチルアミン類を含め、陽イオン成分を5分以内の短い分析時間で、完全分離することが可能です。
mono-MA:monomethylamine
di-MA:dimethylamine
tri-MA:trimethylamine
抽出を行った液晶のエレクトロフェログラムを左図に示しました。
不明成分1成分を含め、6種類の陽イオン成分を検出しました。
定量:
標準試料による検量線を作成すれば、検出成分の定量分析も可能となります。