分析例
カーボンに白金(Pt)を担持させた2種類の市販の触媒を用いて、触媒の初期特性としてPtの分散状態・結晶性、組成、表面積の基本特性と活性を評価しました。
透過電子顕微鏡観察によるPt粒子の分散状態(TEM像)
触媒A
触媒B
※黒い粒子がPt、灰色部分がカーボン
透過電子顕微鏡観察によるPt粒子の結晶性(TEM格子像)
触媒A
触媒B
透過電子顕微鏡で観察した結果、触媒Bと比較して触媒AのPt粒子が小さいことがわかりました。
■基本特性と活性
各種分析(下表)の結果から、触媒Bは触媒Aに比べて表面積が小さいものの、活性が高いことがわかりました。
評価項目 |
単位 |
触媒A |
触媒B |
評価方法 |
組成 |
Pt |
wt% |
46.3 |
44.0 |
高周波プラズマ発光分析 (ICP-AES) |
C |
wt% |
45.2 |
44.6 |
CHN元素分析 |
H |
wt% |
0.3 |
<0.3 |
CHN元素分析 |
N |
wt% |
1.3 |
1.8 |
CHN元素分析 |
O |
wt% |
7.6 |
7.8 |
酸素分析 |
表面積 |
全体 |
m²/g-cat. |
310 |
90 |
N2吸着法(BET法) |
Pt |
m²/g-Pt |
61 |
52 |
サイクリックボルタンメトリー(CV) |
活性 |
反応電流 |
mA @0.8V,400rpm |
0.16 |
0.19 |
対流ボルタンメトリー(HDV) |
反応電子数 |
- @0.8V |
2.9 |
3.4 |
対流ボルタンメトリー(HDV) |
活性化支配電流 |
mA @0.8V |
0.28 |
0.33 |
対流ボルタンメトリー(HDV) |
※反応電流、反応電子数、活性化支配電流の値が大きいほど活性(酸素還元性能)が高くなります。
●反応電流:試験条件により値が異なるため、実際の使用条件に近い条件で評価する必要があります。
●反応電子数:酸素還元反応機構(4電子還元、2電子還元など)を反映しています。
●活性化支配電流:試験条件(酸素の拡散)に依存しない触媒固有の活性を示す指標となります。
※表面積のN2吸着法(BET法)の値はメーカーの検査値です。