概要
表面機能や接着機能を向上させる上で、表面状態を解析することは非常に重要である。表面分析装置として XPS は元素組成、化学結合情報が得られるのに対し、TOF-SIMS は元素、分子構造情報が得られる。また得られる深さ情報も異なり、前者が 5 ~ 6 nm に対し、後者は 1 ~ 2 nm となる。特徴の異なる両装置を用い、市販滑水コート剤の表面解析した事例を紹介する。
試料
市販の滑水コート剤 (市販品 A、市販品 B) を塗布したシリコンウエハ
水の滑落角 市販品 A 32°、市販品 B 61°
XPS測定
表面組成
試料 |
Atomic% |
C |
O |
Si |
Ca |
市販品 A |
15.5 |
27.8 |
56.7 |
ー |
市販品 B |
30.4 |
26.6 |
42.7 |
0.3 |
TOF-SIMS測定
解析から推測する滑水コート剤塗布イメージ
XPS と TOF-SIMS の併用で以下が示唆された
・滑落性能は最表面の有機物量に起因
・コート層構造の違い (市販品 B はハイブリッド構造)