概要
電子線マイクロアナライザー (EPMA※) による元素マップは、特定元素の濃度分布を可視化できる有用な手法であるが、濃度差が小さい複数の化合物を元素マップで識別 (色別) することは困難である。一方、複数元素マップを用いた散布図解析では化合物の元素比を反映したクラスタに分離できる。さらにクラスタを色分けした相マップを作成し、各化合物 (相) の分布を可視化することができる。ここでは、SUS種の識別に適用した事例を紹介する。
※EPMA: Electron Probe Micro Analyzer
試料
4 種類のステンレス鋼 (SUS) 標準試料粒子を包埋樹脂に混合分散させ研磨面を作成
元素含有量 (wt%)
SUS種 |
Cr |
Mn |
①SUS304 |
18.12 |
0.918 |
②SUS309S |
23.18 |
1.426 |
③SUS310S |
24.61 |
0.924 |
④SUS430 |
16.27 |
0.493 |
赤文字:濃度差が小さい
元素マップ
各元素マップでは濃度差が小さい SUS 種を区別できず、どちらも 3つ の SUS 種として色分けされた
散布図
相マップ
単一元素マップでは識別困難な化合物も、複数種の元素マップの相関を利用した相マップ解析により化合物(相)の分散状態を可視化できる。