走査型透過X線顕微鏡

概要


走査型透過X線顕微鏡 (STXM) は、集光した X線 を用いて微小領域の吸光度を測定する手法で、高い空間分解能で元素情報や化学状態を反映したマッピング像が得られる。また、偏光を使うことで分子の配向情報が得られる。ここでは、STXM の原理と配向性グラファイトシートを分析した事例について紹介する。



原理と特徴


STXM は、約30 nm に集光した X線 を用いて XAFS(X線吸収微細構造) 測定を行う手法のため、高い空間分解能で試料の元素情報や化学状態が得られる。類似する STEM-EELS と比較し、試料へのダメージが小さく、エネルギー分解能が高いという特徴がある。また、STXM では偏光を使うことで分子の配向がわかる。

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配向性グラファイトシートの断面評価


■成分識別
295 eVでのSTXM像
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■配向評価
285 eVでのSTXM像
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各エリアでのC-K端XAFSスペクトル
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数μm の微小領域について
成分の分布を可視化できた
各エリアでのC-K端XAFSスペクトル
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  • 285 eV における吸光度は入射X線の偏光方向に配向したグラファイトの量に依存することを活用し、グラファイトの配向を可視化できた
  • 微小エリアでは配向が一様でないことが示唆された

樹脂の分散や樹脂/異種材料界面のナノスケールでの化学状態解析や可視化が可能



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