分析例
カーボンに白金 (Pt) を担持させた 2 種類の市販の触媒を用いて電位サイクル試験により触媒を劣化させ、試験前後の特性を測定して、触媒の劣化状態を評価
●電位サイクル試験条件:0.6 V - 0.9 V (0.1 V/sec)、2,000 サイクル (*)
(*)参考文献:「固体高分子形燃料電池の目標・研究開発課題と評価方法の提案」平成19年1月 燃料電池実用化推進協議会
【試験前後のサイクリックボルタモグラム (CV 曲線)】
電位サイクル試験前後で比較すると、触媒 A、B ともに CV 曲線で囲まれる面積が 小さくなっており、Pt の表面積が減少していることがわかった
【試験前後の特性の変化】
評価項目 |
単位 |
触媒A |
触媒B |
評価方法 |
試験前 |
試験後 |
試験前 |
試験後 |
電解液中への Pt溶出量 |
% 初期Pt量に 対して |
ー |
25 |
ー |
15 |
高周波プラズマ質量分析 (ICP-MS) |
表面積 |
電極上のPt |
cm2-Pt |
1.9 |
1.4 |
1.8 |
1.5 |
サイクリック ボルタンメトリー (CV) |
活性 |
反応電流 |
mA @0.8V,400rpm |
0.16 |
0.15 |
0.19 |
0.19 |
対流ボルタンメトリー (HDV) |
反応電子数 |
ー @0.8V |
2.9 |
2.7 |
3.4 |
3.4 |
活性化支配電流 |
mA @0.8V |
0.28 |
0.26 |
0.33 |
0.31 |
電位サイクル試験後は、触媒 B と比べて触媒 A は、
(1) 電解液中への Pt 溶出量が多い、(2) 活性が低い、ということがわかった
これらのことから、触媒 B の方が耐久性に優れていると推定される