概要
リチウムイオン二次電池の電極表面の劣化解析は重要である。表面分析装置である TOF-SIMS は、 ①極表面(1 ~ 2 nm 程度)の微量分析 (検出下限 数十ppm) ②二次イオンマッピング機能 ③表面エッチング機能を備えており、電極表面の劣化解析には非常に有効である。ここでは保存試験品の負極分析事例を紹介する。
分析試料
LiB負極、保存試験 (80 ℃ × 2日)
極表面・微量分析 試験前後の負極表面のLi化化合物成分比較
試験後では試験前に比べ、相対的にリチウム酸化物、リチウム水酸化物、炭酸リチウム、
リン酸リチウムが増加し、フッ化リチウムが減少していることがわかった
二次イオンマッピング機能 負極表面のLi化化合物成分分析
正負二次イオンのマッピング像を得ることができる
各成分の分布の違いが確認できる
表面エッチング機能 深さ方向分析
TOF-SIMSではGC-IB(ガスクラスターイオンビーム)で試料表面をエッチングしながら分析できる
負極表面の有機物堆積層の深さ方向分析が可能である