概要
リチウムイオン電池の電解液に含まれる添加剤は、電池内でSEIと呼ばれる保護層を電極表面上に形成すること知られている。負極のSEI層に含まれる成分についてLC-MS/MS測定により添加剤の構造を推定した。
負極抽出液のLC/MS TICクロマトグラム
peak a およびpeak b については、次いで測定したMSスペクトルの同位体パターンより含ホウ素成分と推測された
peak a、b のMSMSスペクトル*1(部分拡大マススペクトル)
Peak a および peak b についてLC/MS/MS測定した結果、得られてプロダクトイオン (m/z 114.9838)が代表的なホウ素系添加剤であるLiBOB標準品のプロダクトイオンと 1 ppm 誤差内で一致した。
これによりSEI抽出液から検出された Peak a および peak b は左図の赤破線枠の構造を部分骨格とした成分であると推定された
LC/MS・LC/MS/MS測定により、SEI層中の変性成分(添加剤とLi塩、溶媒等)の情報を得ることが可能となる
電解液添加剤の総合解析
元素分析、イオンクロマトとの併用により、添加剤元素のセル中でのマテリアルバランス挙動、構造変化などの分析が可能