概要
正極活物質中に残存するLi系アルカリ成分は、スラリーのゲル化による電極塗工工程への影響や、ガス発生によるセルの膨れ等に影響する。一方、負極中では電解液劣化によるリン酸類やLiデンドライトの生成により電池性能を低下させる。ここではLiおよびLi化合物の各種分析法について紹介する。
各種分析法
部材 |
目的と対象化合物 |
分析法 |
検出オーダー等 |
正負極 |
全Liの定量 |
ICP-AES、ICP-MS |
ppm ~ % |
正負極 |
劣化生成したLiF *1、Li2CO3、Li3PO4の定量 |
イオン クロマトグラフ |
0.1% ~ % |
正極活物質、 正極 |
不純物LiOH、Li2CO3の定量 |
中和滴定 |
0.1% ~ % |
負極 |
負極中のLi状態分析 (金属Li、LiC6等の層間Li、Li塩) |
高分解能固体NMR |
% ~ *2 |
正負極、 セパレータ |
金属Li、Li化合物 |
高感度EDS |
10 ~ 30倍 *3 |
*1 可溶分として *2 Li量比として *3 従来の薄膜window付大面積検出器と比較した感度
実施例
(1) LiOH + HCl → LiCl + H2O
(2) Li2CO3 + HCl → LiHCO3 + LiCl
(3) LiHCO3 + HCl → LiCl + H2O + CO2
非暴露での測定を実施しており、大気等の炭酸の影響を排除しての測定が可能
正極活物質中の不純物定量