概要
電極スラリーの粒子の分散が悪いと、貯蔵時の静置安定性や塗布時の加工性が悪化し、電池性能も大きく低下する。したがって、電極の作製工程ではスラリー中の粒子分散を適切に評価し制御することが必要である。
ここでは、レオメーター、パルスNMR を用いてLIB の負極スラリーの粒子分散性を評価した事例を紹介する。
サンプル
LIB 負極スラリー : 水、CMC、バインダー、導電助剤、活物質 (グラファイト)
※混錬の処方を変えて作製した2 種類のスラリーを測定 (処方A : 混錬 強、処方B : 混錬 弱)
動的粘弾性測定(周波数依存性、ひずみ依存性)
周波数依存性 - 静置安定性、分散性-
処方A では低周波数帯にてG’ の平坦領域が存在
G” < G’ ( 固体的)
⇒構造形成が安定と推測
⇒活物質が沈降しづらく長期間安定と推測
ひずみ依存性 - 内部構造の強さ-
降伏応力は処方B < 処方A
⇒処方A の内部構造は処方B よりも壊れにくい
スラリーの分散( 凝集) 構造、静置安定性、内部構造の強さなどを評価可能
パルスNMR測定
磁化されたプロトンの緩和曲線から溶媒 (水) の分子運動性を評価
磁化の緩和曲線
緩和曲線より求めた
高・低運動性成分の割合
処方A の方が粒子に拘束された運動性の低い溶媒 (水) の割合が多い⇒処方A の方が良分散と推測
粒子分散性や粒子と溶媒の親和性を評価可能