概要
黒鉛粉末と電解液との親和性をパルスNMR 及び窒素吸着による比表面積測定により評価した。その結果、電解液との親和性には、黒鉛粉末と水との親和性(化学的相互作用)が寄与していることが分かった。
しかし、黒鉛の細孔の大きさも寄与していることが示唆され、両者の切り分けが必要であることが分かった。
黒鉛粉末と水との親和性評価 (水蒸気比表面積 / 窒素比表面積)
表1. 黒鉛の比表面積
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比表面積[m2/g] |
水蒸気比表面積 / 窒素比表面積 |
窒素吸着 |
水蒸気吸着 |
黒鉛 A |
5.624 |
1.413 |
0.25 |
黒鉛 B |
6.118 |
0.7013 |
0.11 |
黒鉛 C |
14.61 |
2.156 |
0.15 |
水との親和性(化学的相互作用) : 黒鉛A > 黒鉛C > 黒鉛B
窒素比表面積
⇒物理的相互作用(細孔、形状)のみ
水蒸気比表面積
⇒物理的相互作用+化学的相互作用
水蒸気比表面積 / 窒素比表面積
⇒試料形状等を考慮した水との親和
(化学的相互作用) を評価できる
黒鉛粉末と電解液との親和性評価(パルスNMR・窒素比表面積)
黒鉛粉末に添加した電解液の分子運動性をパルスNMR により評価した。
成分1 は、成分2、成分3 に比べて
分子運動性が低い領域の電解液
⇒黒鉛粉末による拘束性が強い
式(1) より、単位面積当たりの
黒鉛と親和している電解液量
Vaffinity [g/m2] を算出した (図2)。
電解液との親和性:
黒鉛A > 黒鉛B > 黒鉛C
黒鉛A は水との親和性が最も高く、電解液との親和性も最も高い。
しかし、黒鉛C は水との親和性が黒鉛B より高いにもかかわらず、
電解液との親和性が最も低い。
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電解液との親和性には、黒鉛粉末と水との親和性のみではなく、
細孔の大きさも寄与していると考えられ、切り分けが必要となる。